第12回 宮城を選んだ先輩~伊藤仟佐子さん編・後編~

NPO法人エムケイベース代表であるさいとう愛がお届けするコーナー。題して、「宮城を選んだ人」
仙台を中心として宮城で出会った「宮城を選んだ人」や「宮城を好きな人」を紹介しながら、宮城の魅力を探訪しているコーナーなのですが…
今回は、ご家族の転勤で宮城に来たことをきっかけに仙台の子育て支援をリードし続けてきた大先輩であり、今なお第一線で子育て支援を牽引しているスーパーウーマン、伊藤仟佐子さん(NPO法人せんだいファミリーサポート・ネットワーク代表理事)に登場していただいています。

前編の記事はこちら:https://mamabeonline.net/mama_recommend/4291/

前編では、『子連れママの気晴らしマップ』の制作秘話や、当時の子育て感、そして全国で広まっていた子育て支援広場が仙台にもできる!ということで伊藤さんたちが動き出したところまでをお届けしました。

 

子育てしながら、必死に駆け抜けたあの頃。これは使命なのか、運命なのか。

のびすく仙台 ひろば

子どもセンターは、仙台市が直接運営するのではなく、民間に委託(指定管理制度)すると決まったことから、「特定非営利活動法人せんだいファミリーサポート・ネットワーク」を立ち上げたんです。NPO法人立ち上げと指定管理の準備を担当を決めて、同時並行やっていたのよ。今思うと、無茶よね~(笑)

審査を経て、「仙台市子育てふれあいプラザのびすく仙台」に、管理運営団体として選出されたんです。大手事業者も複数申請していたんだけど、様々な情報を持っていて、他の子育て支援団体とのネットワークが強固であること、法人としては設立して間もないけれど、所属メンバーが長年活動していることが決め手になったようなのよ。

ここだけを切り取るとサクセスストーリー!ですが、伊藤さんたちが子育てをしながら、必死に駆け抜けてきたその姿を思い浮かべると、裏にある数知れぬ苦労や努力が認められた結果なのだと確信しました。

仙台市としては当初、子どもセンターは、のびすく仙台の1館のみの開館予定だったと言います。
しかし、各区に1つずつ子どもセンターが欲しいと声をあげ続けた伊藤さんたち。
現在、各区に1つ「のびすく」が存在するのも、こうした陰の働きかけがあったこそなんですね。
知らず知らずのうちに、私たち今の子育て世代は恩恵を受けていたってわけです。

のびすく仙台 ボールプ-ル

2004年、「のびすく仙台」ができました。その頃は、親子が気軽に集まれる場所が少なかったこともあったのか、利用者も一緒になってのびすくを作っていたような気がしています。のびすくができてもうすぐ20年。存在が当たり前となり、何も考えずに利用している人も多い気がします。

でもね、今のお母さん達のほうが、「のびすく」という場が必要な人が多いんじゃないかなと私は思っているんです。

かつては、のびすくにしか子育てに関する情報がないから、みんなのびすくに来てたわけ。そして情報交換をするでしょ。でも今はインターネットが発達して、家にいて簡単に情報を得ることができる。
これが良い方向に進めばいいんだけど、「自分の欲しい答えを見つけようとしている」そんな傾向が強いなというのは感じるんです。

例えばね、子どもの成長一つとっても、実際に他の親子と出会って、「うちの子はこうだな」と気づくことができるじゃない?
大人だってそうでしょ?他の人とのやり取りを通して、自分ってこうなんだを知ることがあるでしょ。子育ても同じだと思うのよ。他人の子育てを見て、気づくことやわかることがたくさんあると私は思っているんです。

仙台に住む親子にとって、「のびすく」は誰もが知っている場所。
子育て支援としての当たり前を享受できているのも、伊藤さんのような先輩たちが、熱心で粘り強い働きかけをしてくれたおかげだったことを知って、感謝の気持ちがあふれ出てきました。

伊藤先輩、子どもの反抗期ってどうしたらいいんですか?

小学校の高学年に差し掛かる子を育てる私たちは、子育ての大先輩である伊藤さんにここぞとばかりに子育て相談をしました。

そろそろ本格的にくるだろう子どもの反抗期、どうしたらいいんですか(*´Д`)??

子どもは成長して、バージョンアップしていくわよね。それと同じように、母親もバージョンアップしていけばいいんです。お母さんも子どもも、スモールステップで進んでいく方が、お互い負担が少ないってわけ。

子どもは育ったところに戻ってくる、これは確かなことよ。
反抗期でぐちゃぐちゃになったとしても、乳幼児時代の安心感の根っこがあれば、ちゃんと戻ってくるのよ。

子どものことがどんなに不安であっても、親が不安に思わず、絶対に大丈夫と待つことが大事子どもが離れて、見えなくても、見えない部分に焦ってはいけないし、干渉しすぎたらダメだから。

安心感を持たせていることが大切で、子どもには「戻る場所がある」という安心を伝えてほしいかな。

何度も言うけど、とにかく、過干渉にならないことね。

中高生がね、親の言ったことに「わかりました」とは絶対言わないでしょ?むしろ素直に聞くほうが問題あるかも?って思ってしまうほど。その頃の子どもたちは、ホルモンバランス崩れるし、受験のプレッシャーというものを抱えながら生活しているんだから。いつの間にかね、ビックリするくらい穏やかになるの。それまでは邪魔にならないよう親は見守るしかないな、と私は思います。

あ~安心した~( ;∀;)

話し上手、伝え上手、聞き上手の伊藤さんのお話に、最後まで引き込まれた私たち。
子育ての視界がよくなった気分でした。

仙台を始まりとして横浜、大阪、京都、新潟や福岡など全国に『子連れママの気晴らしマップ』のような地域密着型子育て情報誌が今や広まっていますが、1985年に発行された1号の「おわりに」に書かれていた内容にとても共感したので、紹介しながら、終わりに向かっていきます。

「おわりに」のメッセージ

これまで私たちは、乳幼児を抱えて「社会から取り残されてしまっている」と考えていましたが、「残っている」という面もあるようです。もっと心を開いて、自らの手でイキイキとした人間関係を創っていきませんか?子育て期の今をどう生きるかということは、決して今だけの問題ではなく、これからの人生にも深く関わっていくのですから。

後編も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
伊藤さん、貴重なお話をざっくばらんに教えてくださり、本当にありがとうございました。
これからも、頼らせてください。
最後に、温かいお声を届けてくださった皆さま、本当にありがとうございました。

(文:mamaBEonine!齋藤)

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