ママが学ぼうシリーズ第一弾として、講師にJAPAN ALIVEのお二人をお呼びし、「おうちでの性教育、どうしたらいい?」というテーマのもと、連続3回講座の最終回を7月13日に開催しました。
講座レポートを前編と後編に分けてお届けします。
3回目は「境界線」「境界線の築き方」について学びました。
「境界線」と聞いて、何を思い浮かべますか?
皆さんは「境界線」と聞いて、何を思い浮かべますか?
家と家の境界線、国と国の境界線…パッと浮かぶのはこういったところでしょうか。
「境界線」と「性教育」と一体どんなつながりがあるのか、冒頭ではまだその中身を誰もがよく分かっていませんでした。
境界線とは、健康な人間関係を築くためのライフスキル
こう教えてくれた佐野さん。
イラストに表すとこうなります!
人はそれぞれ「境界線」を持っています。その範囲は個々に違う上に、相手との関係性や置かれる状況によって変化するため、「スキル」として身につけていく必要があると言います。
例えば、親子関係だったら、夫婦関係だったら、上司と部下だったら…
例えば、家の中だったら、学校の中だったら、満員電車の中だったら…
相手との関係性や今いる場所によっても、「境界線」は変わっていくんですね。
「境界線」には、身体的、精神的、感情的といった3つの種類があります。
一番想像しやすいのは、「身体的境界線」でしょうか。
他者が自分の身体に触れたり、さわったりすることが許されるライン、つまり、あなたとわたしの「線引き」です。
我が子だったら触られても、突然ぎゅっとされても、愛しささえこみ上げてきて、自然と受け入れられます。
でも、友達に同じことをされたら、「え?何なの?」と思う場合があります。
目には見えませんが、一人ひとり違う「境界線」が存在していて、その線を拡張したり、狭くしたり、と、私たちは無意識下に変化させているのです。
日常生活にいっぱい「境界線あるある」
3つの種類がある「境界線」ですが、侵害されたり侵害したり…ということが日常茶飯事のように起きています。
例えば、自分は「良かれと思ってやってあげていること」が、相手にとっては「迷惑」になる場合ってありませんか?
例えば、お母さんの場合、「何度も言っても子どもが話を聞かないから、ついつい代わりにやってしまうこと」ってありませんか?
この状況をわかりやすく表現してくれた、佐野さん夫婦。日常にあふれるシーンで「境界線がある場合」と「境界線を越えてしまっている場合」の両方を演技してくれたんです。
境界線のある、なしを同じシチュエーションで演じてくれたので、「境界線」のラインがくっきり見えました!
こう話してくれた参加者さんの内容からも、「境界線」について少し感じ取ってもらえると思うのですが、もっと具体的にわかるために、1つの場面をご紹介しましょう!
【境界線超え、喉乾いたよ!編】
子ども:ママ~!のど~~~!
ママ:はいはい、喉乾いたのね!
子ども:もってきて~!
ママ:はいはい、どうぞ!(と、飲み物を入れたコップを持っていってあげる)
子ども:えー----!お茶じゃん!いやだいやだ!!ジュースがいい!
ママ:ジュースね、はいはい。でも今ないのよ。そうだ、後から買い物行く予定だったらその時買ってくるから。
子ども:えー----!いやだいやだ!今、ジュース飲みたい!ママ今すぐ買ってきてよ!
ママ:え?今なの?しょうがないわね。わかったわよ。買ってくるからね!
子ども:よろしく~いってらっしゃーい!
【境界線あり、喉乾いたよ!編】
子ども:ママ~!のど~~!
ママ:のどってなに?どういうこと?
子ども:え?だから、のどかわいたってこと。
ママ:喉乾いたのね、はいはい。
子ども:だから、のどかわいったって言ってるじゃん!
ママ:それはわかったわよ。だから、何なの?ちゃんと伝えなきゃよ。
子ども:のど乾いたから、飲み物ください。
ママ:OK、最初からそう伝えればいいのよ。「のど」じゃわからないでしょ。今、お茶しかないけど、いい?
子ども:うーーーん…お茶しかないのか…ジュース飲みたいんだけどな~
ママ:ジュース飲みたいのね、でも今ないから。じゃ、今から自分で買ってくるか、今はお茶で我慢しておくか、どうする?
子ども:うーーーん…いいや、お茶にする!
ママ:OK、どうぞ!
「子どもが喉乾いている」という状況は同じなのですが、親子のコミュニケーションの中身は全く違うのがわかりますか?
「境界線があるかないか」によって、声のかけ方が変わり、受け取り方も受け答え方も変わっていますよね。
親子間ではよくありがちなのは、親が子どもの気持ちを先に汲み取ってしまうこと。(その逆もあります)
「のど~」や「おちゃ~」という単語だけでコミュニケーションが成立してしまうことも多々あります。
これでは、子どもが成長した時に「自分の気持ちをきちんと伝えられない」ことが起きる可能性があります。
また、相手は自分のことをわかってくれるだろう、と思い込んだり、気持ちの行き違いがあった時に、「わかってくれない〇〇が悪い」というように他人に責任転嫁をする可能性もあります。
子どもの気持ちがわかるからといって、先回りして答えたり、先回りしてやってあげてばかりいると、「境界線」を築く練習にならないんですよ。
相手が求めることは、まず受け取りましょう。そして、次の行動については相手に考えさせてくださいね。
「じゃ、どうしたい?」「どっちがよい?」という風に、考える余地や選択権を与えることが大切です。
「境界線」は身に着けていく「スキル」だと冒頭で伝えましたが、日常生活の中でこそ、その「スキル」は磨かれていくのです。
前編はここまで。
家と家、国と国にも境界線は確かに存在しますが、「人と人」の間にも境界線はあることがわかっていただけたと思います。
この「人と人との境界線を築くこと」が性教育を学ぶことに必要なことだったとは、予想もしませんでしたが、皆さん、その大切さを実感したようでした。
後編は、「境界線」のことを、あと少しお伝えするとともに、参加者の皆さんから寄せられたコメントをご紹介します。
【担当講師】
JAPAN ALIVE:https://www.japanalive.org/
(文:mamaBEonline!齋藤)