3月1日に開催した細谷さんによる「大切ないのちと財産の守り方」講座を元にして、mamaBEstyle!メンバーの学び合いを毎月2回公開します。
3回目は「赤ちゃんや幼児のための防災を知ろう」をお届けします。
私たちが住む仙台市でも体に感じる地震が時々起こっています。
「揺れてる!!」と、瞬時にテーブルの下にもぐる息子たちを見ていると、日頃から災害への意識を持っておくことや、幼稚園や保育園などでも行われる避難訓練の大切さを感じます。
「何歳の子どもを抱えての被災や避難なのか」によって見える景色や感じる大変さは異なりますが、今回は、赤ちゃんや幼児のための防災について学びを進めていきます。
赤ちゃん防災プロジェクト
日本栄養士会災害支援チームが、災害時の乳児の命を守るために2018年に発足させた「赤ちゃん防災プロジェクト」。
東日本大震災以降に課題が浮きぼりになった、災害時における乳幼児のための支援についての指南書であり、妊婦さんや乳児や幼児のための災害時の栄養について気を付けるべきこと、粉ミルク・液体ミルクをはじめとした母乳代替食品などについても解説されています。
妊婦さん、授乳期のママたちに大切なこと
●できる限り食事をとること
●水分をしっかり補給すること
●ビタミン、ミネラル、食物繊維を補えるものを準備すること
避難所で過ごす場合も家にとどまることができる場合でも、「食料の確保」は難しくなりますよね。以前に比べて支援の手が届きやすくなったとはいえ、カップラーメンや菓子パン、おにぎりといった”とりあえずあるものを食べる”ことも多いはず。
非常時は食べられるだけでも尊いことですが、妊婦さんや授乳期のママは、妊娠していない状態に比べて1日350キロカロリーは多くエネルギーを摂る必要があるんです。
ちょうど2011年4月に出産予定で、震災時は臨月だったんだ。病院での診察ができない状況で「産まれそうになったら連絡ください」と言われたんだけど、はじめてだったから、”産まれそう”っていう感覚もわからなくて。不安だったことを覚えてるよ。あとは、食べるものが確保できなくて、お腹が空いていたこともよく覚えてるな。
こう話してくれたのは、仙台市内で3人の子どもを育てているKママ。
産むまでの最後の1か月は缶詰とかカップラーメンしか手に入らなくて…。体には良くないなと思いつつも食べるしかなくて、心配だった。非常食を準備する大切さを感じたし、あとは、サプリメントを常備しておくことも必要だったかも、と今では思うよ。
1回あたりの食事量が減りエネルギーの確保が難しいだけでなく、食材の偏りによって、たんぱく質やビタミン、ミネラル、食物繊維が不足しがちになるそうです。
Kママが教えてくれたように、ビタミン類のサプリメントを用意しておいたり、野菜ジュースや栄養素が調整された食品、乾物類を非常食として常備しておいたりなど、日常からできる備えを意識することは大事な防災ですね。
また、妊婦さんも授乳期のママも、”便秘”に悩む人が多いですよね。母乳で水分が取られてしまうし、汗などで水分が出てしまう場合もあります。水分補給をしっかり行うためにも、日頃からお水を常備しておくことは大切です。
乳幼児の栄養はどうしたらいい?
離乳食が始まっていない場合は、母乳、粉ミルクや液体ミルクといった母乳代替食品で栄養を摂ります。
感染症の観点からすると、母乳で過ごすことがベストなようですが、ママ自身が満足いく食事が摂れなかったり、疲れやストレスで母乳が出にくくなることもあります。
おっぱいを吸わせることで母乳が再び出ることもあるので、母乳を継続することは大切だと言いますが、ママ自身が無理をしては元も子もありません。母乳代替食品に頼ることも一つの方法として考えてみるといいと思います。
●ミルク用の水は軟水が良いため、赤ちゃん専用のミネラルウォーターの常備を
●哺乳瓶や乳首がない時は、紙コップやスプーンなどの代替利用もできる(ただし、洗浄や十分な熱湯消毒は必要)
調乳することなくそのまま飲ませることができたり、長期保存ができる「液体ミルク」は、2018年8月から日本国内で製造や販売許可がおり、国内でも流通するようになっています。
明治ほほえみのHPに「ママと赤ちゃんの防災特設サイト」がありましたので、ぜひ参照してみください。
https://www.meiji.co.jp/baby/milk-stock/
離乳食が始まっている場合は、5~6か月の離乳食初期頃はミルクで対応したり、逆に1歳頃の離乳食後期になると、ごはんで対応していくことができます。また、普段から食べなれたベビーフードも活躍するので、日頃の備蓄も心がけましょう。
炊き出し用の味噌汁や煮物などを使っての食事の準備もできますが、塩分濃度が高い場合もあるので注意が必要です。
食べること以外にも必要な備蓄
●おしりふき、紙おむつ、汚れたものをいれる袋
●ウェットティッシュ、コットンなど衛生用品
●使い捨てカイロ(防寒、ベビーフードやミルクの保温のため)
●バスタオルなどマットやおくるみに使えるもの
おしりふき、紙おむつ、衛生用品の不足は東日本大震災を経験したママたちから本当にたくさんの声が寄せられました。
避難所にあるものはサイズが合わなかったり、かぶれてしまうこともよくあるそうです。オムツが足りなくて、1日1回しか交換をしてあげられなかったというママもいました。
また、水が出ず何日もお風呂に入れないとなると、元々肌が敏感な赤ちゃんたちにはその影響が明らかに出てくるそうです。
日頃からちょっと多くストックをしておくことで、心のゆとりが変わってくるかもしれません。ぜひ一度、現在の備蓄の状況を確認してみくださいね。
次回からは【東日本大震災を経験したママたちの体験を、次へつなぐ】をお届けします。