mamaBEstyle!副代表のaiがお届けするコーナー。題して、「宮城を選んだヒトビト」。仙台を中心として宮城で出会った「宮城を選んだヒト」や「宮城を好きなヒト」を紹介しながら、宮城の魅力を探訪しましょう。地方定住や新しい暮らし方を模索している人や、子育て真っ最中のママたちの参考になったら嬉しいです。
美味しさと人柄に惹かれて
今回は、宮城県亘理町在住で、「野生の珈琲」をキッチンカーや通販などで販売している、小澤知佳さんに登場していただきます。
知佳さんとの出会いは、確か2年前。地下鉄東西線・国際センター駅を出た広場で出店中の知佳さんに、私から声をかけたことがきっかけでした。
「野生の珈琲??どういうこと?」そのネーミングに導かれた先にいた知佳さん。
彼女が淹れてくれた珈琲に、夫と共にすぐに魅了されました。
ブラック珈琲が苦手な私でも飲めることに驚きましたが、”からだに沁みる珈琲”に初めて出会ったことも衝撃だったんです。
そんな出会いから、少しずつ、珈琲のしずくが滴るように、ゆっくりと関係を築いてきた私たち。先日我が家で開催した珈琲の淹れ方講座で、知佳さんがこう教えてくれました。
珈琲には淹れる人の心や状態、人柄が現れるんですよ。
あの日出会った時の一杯で、美味しさだけでなく、知佳さんの人柄に惚れていたんだと思います。
移住する気はなかったんです
――――そうだったの?移住する気満々で、宮城に来てくれたと思っていましたよ。
そのあたりの話も聞きたいんだけど、そう言えば私と一緒で、珈琲が飲めなかったって言ってましたよね?
そうそう、私自身も全く珈琲が飲めなかったんですよ。
でも、「野生の珈琲」に出会って、珈琲豆の背景にある深い深い社会的課題を知り、その課題を正しいやり方で解決しようとしている「野生の珈琲」を沢山の人に知ってもらいたい、多くの人に伝えたいと強く思ったんです。
飲めないからもちろん淹れることもできなかった私が、すごく強い想いに駆り立てられたんですね。
2009年からは、平日は会社で働き、土日に珈琲販売をするスタイルを取りはじめたんですが、頑張りすぎて体調を崩してしまうことに…。
このことをきっかけに2011年11月、夫と共に東京・中野区で喫茶店を開くことになりました。
しかし、珈琲への熱い想いとは裏腹に、小さなひずみが生じ始めたそうです。
家でも店でもずっと夫婦一緒。正直これで夫婦げんかが増えてしまって。
仕事も家庭も気持ちよい環境を整えるために、私が外に出ることにしました。
店舗も手伝うけれど、移動販売で外にも出るというスタイルを続けていました。
2015年旦那さまが、「野生の珈琲」の販売元であるNPO高麗による被災地の復興支援活動の一環で、珈琲の焙煎工場の立ち上げに現地の担当者として携わることになり、宮城県山元町に移住。
知佳さんは時々東北を訪れていたそうですが、訪れる度に原因不明の体調不良に襲われることも多く「最初は、移住する気にはなれなかったんですよ」と話してくれました。
自然と訪れた”移住”への決意
夫が立ち上げに携わらせていただいた焙煎工場とカフェのオープンの日。
初めてそのカフェに行ったときに、『ここの宣伝になるように仕事をしたい』という気持ちが膨らみ、移住をしようと自然と決意していました。
そして、その日、初めて、不調にもならず、この地で暮らせる自信を持てました。
今まで築き上げた関係がないところからの再スタートでしたが、東京へ通っていた時間も多かったと言います。
きっと、東京に行くことが楽だったから、戻っていたんですね。
決意をして宮城に来たものの、一から関係性を紡いでいくのは大変だっただろうなと想像できます。
しかし、さすがの知佳さん。こんな風に話してくれました。
新型コロナウィルスが流行する前から、2020年は東北開拓に力を入れようと思っていたんです。
コロナに「東京へ行くという逃げ道」を塞いでもらったような気もしています。
本腰を入れて東北開拓をすることに、背中を押してもらったと私は思っています。
少しずつ、宮城や東北で関係性が広がっていて、「東京に行かなくても、私、大丈夫かもしれない」という気持ちになってきたと言います。
確かな関係性が増え、心豊かに仕事ができている。
「野生の珈琲」を始まりとして、波紋のように広がるつながりにしっかりと気づくことができた、そんな2020年だったと振り返ってくれました。
―――――知佳さんの夢、こうなったらいいな、ということはありますか?
山元町から世界へ、という気持ちがあります。
生まれた国、育った環境によって子どもたちが何かをあきらめなくていい世界、一人一人が伸び伸びと希望を抱き続けて生きられる世界が欲しいな、とも思います。
子どもたちが希望のある社会を生きていくためにも、「社会や世界に良いことを、自分が本当にやりたいことで実現し、きちんと稼いでいく」ということを実践し、続けていきたいですね。
「野生の珈琲を通じて、社会の仕組みを変える・風穴をあける」
そんな気持ちでこれからも、私の話をこの豆に乗せて、真正直な商売をやっていきたいな。
一杯の珈琲から始まった知佳さんとの縁を、改めてひも解く時間。
宮城に来てくれてありがとう。これからもどうぞよろしく。
☆「光珈琲」の屋号をもつ知佳さん。出店情報、講座情報など詳しい情報はこちらをチェック
https://www.facebook.com/hikaricoffee.jp/
https://www.instagram.com/hikaricoffee.jp/
☆珈琲の販売元であるNPO高麗が運営する焙煎工場兼カフェであり、知佳さんのご主人がいらっしゃるカフェ「結工房」。
ぜひ「結工房」でしか飲めない珈琲を飲みにいってくださいね。