10月半ばが過ぎ、宮城県内にある水稲の8割以上の刈り取りが終わっています。今年の刈り取り最盛日は9月28日だったそうですが、9月末から10月にかけて刈り取り風景をよく見かけました。その姿を見ると、「あぁ、もうすぐ新米の季節だ」と思わずにんまりしてしまうのです。
「食の豊かさ」は、宮城に移り住んでよかったと思う大きなポイントで、米のおいしさも自信をもっておすすめできます。
我が家はザ・定番の「ひとめぼれ」を食べることが多いのですが、「だて正夢」が登場したこともあります。はじめて「だて正夢」食べた時、その粒の大きさともっちり感に驚いたことを覚えています。
皆さんのおうちでは、どの銘柄を食べていますか?
新米の季節に便乗して、意外と知らない「宮城の米」にまつわる話題をお届けします。前編は宮城米の種類について、後編は米と向き合う専門家に話を伺いました。
宮城県まるごと、米作りに適している
稲作は、縄文時代に日本に伝わりました。宮城県では、今から2000年ほど前にはすでに米作りを行っていました。
1600年頃、伊達政宗が仙台に築城をしている頃の宮城は、今から想像がつかないほどの低湿地帯だったそうです。この利点を生かし、仙台藩は新田開発と治水事業にいち早くから取り組みました。仙台藩の高度成長期とも呼ばれています。
北部の北上川、中部の鳴瀬川、仙台城に近い広瀬川、南部の阿武隈川など、それぞれの流域が水田に適した土地で、明治以降はさらに水田の開発が進んだそうです。
「ササニシキ」を筆頭に、宮城で生まれた米
昭和38年、古川農業試験場で誕生した「ササニシキ」をはじめとして、この試験場からたくさんの米が生まれています。
現在出回っている米のほとんどは、明治時代に作られていたおいしい米「旭」と「亀の尾」の血を引く親戚同士。
「ササニシキ」は「コシヒカリ」の甥っ子で、「ひとめぼれ」は「コシヒカリ」の子どもなんだとか。
平成3年に古川農業試験場で「ひとめぼれ」が誕生するまでの間、宮城県内では「ササニシキ」が主流だったのですが、今では、宮城県内の作付の8割が「ひとめぼれ」であり、他県でもメジャーな品種として作られています。
「ひとめぼれ」は低温に強いという利点もありますが、香り・つや・うまみなどのトータル力の強さ、年代問わずに食べやすいという点も愛されている理由です。
一方の「ササニシキ」は、ひと言でいうと「さっぱり」しています。酢飯には「ササニシキ」と言われていて、今でもお寿司屋さんで使われています。粘り気がないので、飽きることもなく、和食との相性もよいという点で惹かれる品種です。
冒頭に登場した「だて正夢」は、平成30年に誕生したプレミアムブランド米です。
でんぷん質の一種であるアミロースの含有量が少ないため、「もっちり」感が楽しめます。おいしさはもちろん、上品なうま味も感じられる品種ですが、炊く時の水加減が少々難しいです。
玄米食を好まれる方には、「金のいぶき」がおすすめです。
胚芽部分が通常の玄米の約3倍で、アミノ酸の一種であるGABAやビタミンEなどの栄養素を豊富に含んでいます。炊き方は、白米と同様という簡単さも嬉しいポイントです。プチプチした食感も、白米にはない独特のおいしさを引き出していますよ。
その他、宮城県内では、「まなむすめ」「つや姫」「げんきまる」などが作られています。かわいらしいネーミングは、聞いていてほほえましくなりますね。
いかがでしたか?知っているようで知らない、「宮城の米」の基礎知識をお届けしました。
新米の季節は、思ったより短いです。新米と呼ぶのは、秋(8月~10月)に収穫してその年を超えるまで(12月31日まで)。年を越えてから(1月1日から)は、新米と呼ばないので、今がチャンスですよ!
宮城米の新米、ぜひ色々と試してみてください。そして、あなたのお気に入り、家族のお気に入りを見つけてくださいね!
【参考・参照資料】
https://foodkingdom.pref.miyagi.jp/miyagimai/learn/pdf/h29okome.pdf
https://foodkingdom.pref.miyagi.jp/miyagimai/index.html
https://www.pref.miyagi.jp/release/norinsui/ho20211005-1.html