第二回 宮城に作りだされた「場(バ)」~にじのおうち前編~

mamaBEstyle!副代表のaiがお届けするコーナー。すでに6回、「宮城を選んだヒトビト」と題しヒトに焦点を当てた記事を書いていますが、仙台を中心として宮城で出会ったヒトが作り出す「場(バ)」の紹介もはじめます。それは、観光地や華やかな場所のような「ハレ」の場ではなく、宮城の日常を作り出す「ケ」の場。宮城で暮らす者として、宮城に広がる日常の「場」に出会えることをうれしく思っています。

 

2回目に登場していただく「場(バ)」は、五橋駅徒歩3分にオープンした母とこどもと保育士の居場所【にじのおうち】です。


地下鉄南北線五橋駅から徒歩3分の一軒家に、親子が集える「にじのおうち」がオープンしました。代表を務める曽根靖子(やすこ)先生をはじめ、仙台市の公立保育所や民間保育園で長年保育士をされていた先生たちや栄養士さんら10名が運営メンバーです。

 

ママたち子どもたちがいつでも来られる居場所、落ちつける場所を提供します。

と力強く話してくれたやすこ先生を筆頭に、関わっている先生たち一人ひとりの優しさがあふれている場所でもあり、親子をとりまく未来への希望を感じる場所でした。

また、「にじのおうち」に遊びに来ていたママやパパとお話をさせていただく中で、「にじのおうち」への確かな希望を感じました。

 

にじのおうちの看板、見えますか?

 

前編は、やすこ先生やメンバーである先生たちとの対話を通して、「にじのおうち」をどうして作ったの?「にじのおうち」を通して、やすこ先生はどんな未来をつくっていきたいの?といった内容をお届けします。

 

後編は、「にじのおうち」に遊びに来ていたママやパパたちとの対話を通して気づいた子育ての今と、「にじのおうち」に通う理由であり、その魅力をお届けします。

 

※「にじのおうち」では、先生と保護者という関係で「〇〇先生」と呼ぶのではなく、身近な関係性でいるために、お互いに「~さん」「~ちゃん」と呼んでいます。ここからは、やすこさんと気軽に呼ぶことにしましょう!


ママたちの行き場である拠点を作りたかったんです

やすこさんのにっこり笑顔が迎えてくれました

 

30年という長い月日、仙台市内の公立保育所で保育士として忙しい日々を送られていたやすこさん。その仕事を辞められた後、ベビーマッサージ講師や幼児の遊びの先生として、子育て支援センターをはじめ様々な施設などで講師業をされてきました。しかし、昨年春からのコロナ禍でイベントや講座の中止が相次ぎ、講師としての仕事が激減したそうです。

 

実はね、子どもに関わること以外の世界も知りたいと思って、食の勉強をしたり、その他のことをしたり…という時期もあったんですよ。でもね、コロナになって講師としての仕事が減ったということもあるけど、ママたちの行き場がなくなるんじゃないか、気分転換できる場所がないんじゃないか、って思ったんです。

 

そしてね、いろんなことにチャレンジしたそのおかげもあって、私はやっぱり「子ども」に関わることが好きだなという自分の気持ちもよくわかったのね。さらに、恩返ししていきたいなという想いも強くなってきたんですよ。そんな私の想いに、すでにご退職されていた頼もしい先輩たちが賛同してくれて、色々なご縁が重なって、五橋に「にじのおうち」を作ることになったんです。

 

 

楽しく保育がしたい、子育てという日常を楽しくしたい

 

にじのおうちのシンボル!にじ色の玄関マット

 

私は、楽しく保育がしたいという想いが人一倍強いかもしれません。なんでかって?それはね、楽しいことを追求していくことが大好きだからかな。

 

少女のような笑い声を響かせながら話してくれるやすこさん。“楽しい”を体現しているやすこさんの周りには不思議と幸せな空気が漂っていて、自然とにっこりしてしまいます。さらに、こう続けました。

日常にその「楽しさ」があるといいな、と思ったんです。例えば実家に行くよう感覚で、気取らない感じでね。子どもを育てるという日常にもっと「楽しみ」があるといいって思っているの。

コロナになって、子育て支援施設がすべて休館になったでしょ。仕方ないことなんだけど、ぷっつり途切れてしまったり、いつ開くかわからない施設では不安を抱えるママたちも多いと思ったの。だから、ここは敢えて独立した支援の場所として、休館しないって決めていてね。月曜から金曜の10時~15時は予約なしで来れるようにしているのよ。

 

 

ピタッとよせるその頬は、安心の証

スタッフのゆきえさんの背中、気持ちいい

 

仙台市の保育士として定年まで勤めあげ、すでにお孫さんもいらっしゃるゆきえさんは、慣れた手つきでひょいっと赤ちゃんを背負いました。ベテラン保育士さんの何とも言えない安定感には尊敬の念しかありません。

 

定年退職後ね、1年間すんごく遊んだのよ。職業は遊び人です!って言えるくらいね。でもね、だんだん寂しくなってきちゃって。格好よく言うと、社会貢献をしたくなったの。社会とのつながりを持ち続けていたいと思うようになって、ここを手伝うようになったの。現役で保育士として働いていた時は、娘たちにも寂しい想いをさせたこともあったと思うのよ。だって、園の子どもたちとは、我が子より長い時間一緒にいるものね。母ちゃんと保育士との切り替えが難しいこともあったりね。懐かしいわね。

 

ゆきえさんの背中、ずいぶん気持ちよくて温かいんだと思います。ピタッとくっつくその姿が何よりの証拠です。

 

ここに来るとね、ただただ子どもたちがかわいくってね、元気をもらえるのよ。

 

自分の人生を楽しんでほしい、可能性を広げてほしい

 

ようこさんの周りも笑いがいっぱい

 

もう一人、現在は家業をしながらスタッフとして活躍する保育士のようこさんにもお話を伺いました。

ここは、みんなのアイディアを吸収してすぐ形にしてくれる場所でもあるんです。お母さんたちのやりたいことをすぐ吸いあげてくれて、やすこさんや他のベテランの先生たちが実現してくれるの。こういう場所って既存の子育て支援施設ではなかなかないのよね。それに、ベテランの良さってあるでしょ!包容力満載のこの空間、いいでしょ!

 

やすこさんは、最後にこのように話してくれました。

ママ自身の人生をもっと楽しんでもらいたいな、と思っているんです。そしてね、保育士としての働き方の可能性も広げていきたいと思っているの。だから、大学で保育を学ぶ学生さんを受け入れることにしていて。学生さんにも良いでしょ。実際に親子に触れ合えるし、先輩たちの姿を間近で見て勉強できるしね。それに子どもたちにとってもいいこと尽くしよね。一時預かりも始めたんだけど、それは、ママたちに“誰かに頼ることに慣れてほしい”という気持ちと、“子どもも楽しんでいるからママも楽しんでね”という想いからなの。

子どもにも、ママやパパにとっても、落ち着く場所がたくさん増えてくれたらいいなと思っているのよ。

 


赤ちゃん、ママパパ、保育士さんたちがそれぞれの色で輝きを放ち、時には混じり合いハーモニーを奏でる居場所。まさに「にじのおうち」という名にぴったりの場所でした。地下鉄南北線沿線のちょうど真ん中に位置する五橋駅から歩いてすぐ。ぜひ、実家に帰るような気持ちで「にじのおうち」に遊びにいってくださいね。

 

後編は、「にじのおうち」に通っているママやパパの話をお伝えします。お楽しみに。

 

〇仙台市青葉区五橋2-10-17

地下鉄南北線五橋駅南出口1を出て、歩いて3分。荒町交差点にあるショーケー本館ビル様の角を右に曲がってすぐ左側に見える駐車場の奥にある一軒家です。看板が目印になります。

〇一時保育は、1時間1,000円で受け付中。登録制となりますので、詳しくは下記までお問合せください

〇月~金曜の10時~15時は予約無しで来ていただけますが、まれに休館日があります。来ていただく前にInstagramを確認するか、下記問い合わせ先までご連絡ください

<問い合わせ先>090-9746-8382(曽根靖子)

<「にじのおうち」Instagram アカウント> niji_tonarinohoikushi(Instagramへのメッセージも可)

 

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