【ママが学ぼうシリーズ】おうちでの性教育、どうしたらいい?①

ママが学ぼうシリーズ第一弾を5月25日に開催しました。
講師にJAPAN ALIVEのお二人をお呼びし、「おうちでの性教育、どうしたらいい?」というテーマのもと、
連続3講座のうちの一回目を行いました。

2歳のお子さんをもつママをはじめとして、未就学児から小学生のお子さんをもつママたち6名が参加してくれました。

性教育への固定概念を良い意味で崩してくれた講師の佐野さん夫婦。
大切なメッセージをたくさん届けてくださったおかげて、各々が自分ごとと照らし合わせて思考し、それをみんなと共有する、そんな温かな時間になりました。
そのレポートを2回にわたってお届けしましょう!

多彩な佐野パパの話に聞き入ります

 

「性教育」とは「生教育」、「人権教育」でもある

愛しいプレゼントもいただきました。

性教育と聞いて、皆さんはどのような印象をもっていますか?

男女の体の違いですか?
セックスという言葉が浮かびますか?

自分たちが子どもの頃、学校教育の中で学んだこと=性教育だと捉えてしまうことが多いと思います。
体の仕組みとか、生理が来たらとか、もしくは卵子と精子が出会って受精卵になるとか…
知識としても断片的で、なんとなく授業を受けた記憶が強く、性教育は特別な授業扱いでした。

それは家庭でも同じこと。
女の子の場合、生理用ナプキンの使い方など実用的なことは家で教わるけれど、親が子どもに性教育をしてくれるという家庭は稀だったのではないかと思います。

佐野さんはこう言っていました。

性教育の「性」という字を分解すると、へんであるりっしんべんは「心」を意味し、つくりである「生」は生きるということを意味しています。つまり、「性」とは、「心が生きる」ということなんですね。
生きるということ、命のメッセージを伝えていくことを意味する「生教育」や、人が人として生きる権利を守る「人権教育」にもつながるのが、「性教育」なんですよ。

 

スタンダードな性教育~世界の事情から~

真剣にメモをとっています!

日本では特別視される性教育ですが、世界に目を向けてみると、その様子はずいぶん違うようです。

佐野さんが紹介してくださったのは、2009年ユネスコなどにより世界中の性教育の専門家の研究と実践を踏まえて発表された『国際セクシュアリティ教育ガイダンス』。(日本語版は2017年に出版)

英語版を改めて調べたところ、導入部分にこう問いかけが書かれていました。

What is sexuality education and why is it important?(セクシュアリティ教育とは何?どうしてそれが大切なの?)

セクシュアリティ教育って?皆さんは聞いたことありますか?

セクシュアリティ教育は、日本語では「包括的性教育」を指します。
生物学的な性、自認している性、社会的な性、役割の中の性など、「性」を様々な視点からとらえ教えていくことが大切だということです。

また、幼児期から性教育をすることの重要性も書かれていて、世界では小さな子どもの時から身近に性教育があるのがスタンダードなのだそうです。

佐野さんが教えてくれたフィンランドの例では、5歳から性教育が始まるのだとか。
5歳にどんな風に伝えるのだろう?と疑問符が浮かんできますが、とても分かりやすい例え話をしてくれて、「なるほど!そういうことか!」という声があがりました。

こんなシーンよくありませんか?

 

おもちゃを取り合っているシーンを浮かべてみてください!幼稚園などでもよくある光景ですよね。
その時の先生の視点、子どもへの問いかけがポイントなんです。

それぞれに気持ちを話させる、その気持ちを伝え合う、そして「次、そのおもちゃ貸して!」という許可を取らせるんです。

・自分の気持ちを知ること(例:取られて嫌だったと気づく)
・自分の気持ちを相手に伝えること
・相手の許可を取ること

「知る→伝える→許可を取る」これ自体が性教育へとつながります。
自分の気持ちに気づく、その気持ちを相手に伝える、そして相手の許可を取ることにつなげていきます。
好きな人ができて、その人と行為をしたいと思うのは自然なこと。だけど、許可なしにはしてはいけないこと。

おもちゃの取り合いから「性教育」へつながっていくことは日本では想像しにくいですが、フィンランドでは、そういう意識が国全体に浸透しているので、日常の行動から、「性教育」へとつなげていく働きかけが自然と行われているんですね。

 

家庭でオープンに性を語れる、それこそが日本を変える

性行動の低年齢化が進行し、それに伴って10代で出産したり、中絶という選択肢を選ぶことになったり…という現状が日本でも起きています。
(参照:http://www.jaog.or.jp/wp/wp-content/uploads/2019/06/132_20190612.pdf

背景には、ネットやSNSの普及、マンガやアニメなどによる性的な刺激、溢れる性的な情報があります。
いつでもどこでもアクセスできるこれらの情報、親が知らないところで作られる交友関係は、意図せずに一方的に流れてくることの方が多いかもしれません。

溢れかえる情報の中から、どの情報を受け取り、どの情報を受け取らないのか。
情報を選択できる高い力を養っていくことが、自分を大切にすることはもちろん、大切な人を大事にすることへとつながります。

流れてくる情報を止めることはできないし、それを見て何を感じるかは親にも操作はできない。
だけど、情報をうのみにしないこと、不正な情報や怪しい情報にはアクセスしないことなどの情報リテラシーを養っていくことは、小さい時からの声掛けや働きかけで伝えていくことができると思うのです。

また、家庭でオープンに性を語る雰囲気が小さい頃から出来ていれば、なにかあった時にすぐに相談してくれることにもつながり、それが望まない結末をうまないための第一歩になる可能性も大いにあるのです。

我が子を守っていくためにも、家庭でできることを実践していくことの大切さを感じた時間でした。


次回は、「自己肯定感を育むことが性教育につながる」をお届けします。

【担当講師】
JAPAN ALIVE:https://www.japanalive.org/

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